四季おりおりの話題:4月

四姑娘山の冬は寒くて山麓の標高3200mに在る村でも朝方は-15度位まで下がりますが、4月になるとだいぶ暖かくなります。 そして4月後半になると山の中で艶やかな2種類の花が咲くようになります。 青いケシの仲間で大きな黄色い花を咲かせる Meconopsis integrifolia(中国名は全縁緑絨蒿)と桜草の仲間で青紫色の花をたくさん付ける Primula graminifolia(中国名は禾葉報春)です。 山の中を歩いていてこれらの花を見つけると感慨ひとしおで、四姑娘山にまた春が巡って来たなと心がうきうきして来ます。
Meconopsis integrifolia は標高4000m前後で多く見掛けます。4月は未だ時々雪が降りますが、雪を被りながらでもしっかり咲いています。 この黄色いケシの花期は長く、8月になっても咲いています。四姑娘山への入り口で自動車道路が通る巴郎山峠でも大きな群落があちこちに出来ます。 Primula graminifolia は3700m位から姿を現します。この花も黄色いケシと同様に花期が長く、雪解けを追うようにして段々標高の高い所で咲くようになります。 巴郎山峠でもあちこちで見掛けます。
Meconopsis integrifolia
Primula graminifolia
どちらの花も春一番に他の花が咲いてない所で艶やかな姿を見せるため、通りがかりの観光客がこの花を摘んで行く姿がちょくちょく見られます。 特に巴郎山峠では、バスや自家用車を止めて黄色いケシを根こそぎ何本も採って行く観光客が目に付きます。 中には数10本もの花束を作って、成都で売るのだと言う観光客も居ます。 これらの観光客は注意されると「自分が発見した物を取って何が悪いのか」と主張します。 自然保護区管理局や政府関係機関がゴミ捨ての問題と共に動植物保護のキャンペーンを張っていますが、基本的な考え方が変わるまでに時間が掛かりそうです。

制作:四姑娘山自然保護区管理局 特別顧問 大川健三