四季おりおりの話題:8月

四姑娘山では8月に入ると4000mを越える場所で時々雪が降るようになり、花や緑の盛りも過ぎますが、この時期に目立つようになる植物が幾つか有ります。
背丈が2mを超える大黄の一種Rheum australeはその一つです。この大黄の根は漢方薬として昔から使われていますが、最近は人気が減って採取されなくなり、その分見る機会が増えました。 この大黄は自然の状態では標高4000m前後で姿を見せ、群落を作ります。背丈の高い株は3m位になり葉は1m位になりますので、その群落は壮観です。
また百合科のNotbolirion bulbuliferumも1mを超える背丈の茎に沢山の花を咲き揃えます。 この百合はかって長坪崖穴周辺のあちこちに遠くからでも見える群落を作っていました。その艶やかな姿は花の女王と言うに相応しいものでしたが、心無いハイカーに次々盗掘されて山道沿いでは殆ど姿を消しました。 最も象徴的だった事件は、長坪崖穴西岸に在る、村人が野営に使っている大きな岩の上に咲いていたこの百合が、2002年8月初旬に盗掘された事です。 百合の株は根こそぎ盗掘されて持ち去られ、その代わりに大きな岩の下にガスカートリッジ等のハイカーが使ったゴミが多量に捨てられていました。 このレポートでご覧頂いている写真がこの百合で、今では見られなくなってしまったものです。 現在この百合の群落を見ようとすると、殆ど人が入らない隣の谷間へ1日掛かりで山を越えて行かなければならなくなりました。
Rheum australe
Notbolirion bulbuliferum

制作:四姑娘山自然保護区管理局 特別顧問 大川健三