四季おりおりの話題:12月

四姑娘山では、谷を埋め尽くした唐松や樺の黄葉が終わり、すっかり冬の様相になりました。 観光シーズンが終わって暇になった村の人々も冬支度に入り、豚やヤクを潰して干し肉や腸詰を作り始めています。
これから春にかけては結婚シーズンでも有ります。 観光開発で収入が10倍近くになった村人の悩みの一つは、祝儀の相場が跳ね上がった事です。 以前の結婚式の祝儀は20元位で済んだのですが今は100〜200元です。 それでもすっかりお金持ちになった村人はあちこちの結婚式に呼ばれると喜んで出掛けて行きます。
観光開発のこの種の副産物は笑って済ませられるのですが、そうは行かない問題も幾つか有ります。 その一つはゴミ問題です。 当地ではゴミは辺り構わず捨てる物だと考える人が多数派で、観光客が一休みした跡にはゴミが散乱しています。 管理局は人を雇ってこれらのゴミを拾い歩き、町に近い所では何とか見苦しくない程度にゴミを収集できています。 しかし町から遠い所、具体的にはゴミを拾い歩く人が日帰りできない所では、ゴミを収集できていません。 当地の観光客の中には、町から遠い所に散乱しているこれらのゴミを見て 「なぜ管理局はゴミを収集しないのか」とE-mailを送り付ける人も居ます。 基本的な所でゴミ捨ての感覚が違っていて、常識的と思える反論が出来ない部分が有ります。
環境保護についても基本的な所での感覚の違っている部分が有って、 ゴミ捨てと同様に越えなければならない壁が幾つも有ります。 「所変われば常識も変わるもの」だと理解して行動しなければならないとつくづく思うこの頃です。
新雪のチュプー山
5450m
雲海に浮かぶ
四姑娘山主峰東面

制作:四姑娘山自然保護区管理局 特別顧問 大川健三