四季おりおりの話題:番外1
四姑娘山下流のギャロン(ギャルモロン/女王谷)地方の文化的に重要な場所の一つ(私見に基づいていますが)をご紹介します。
18世紀中期に清朝の乾隆帝軍が進攻した金川の役で女王谷の最大勢力だった大金川と小金川の領主の連合軍が壊滅しましたが、 女王谷が「ギャルモロン(女王谷)」で有る伝統を最も強く継承していたのはこれらの部族でした。そして金川の役の後、その伝統を継承できた 数少ない部族の一つが、大金川の領地と隣接し13世紀頃から婚姻関係で大金川の領主と強く結び付いていた丹巴北部に在る巴底の領主でした。 巴底の領主は金川の役初期に乾隆帝軍に投降して協力したため、領地の一部が入替えられたものの生き残りました。 さらに巴底の領主は中国革命にも協力して生き残り、結果として巴底は女王谷の伝統と文化を最も良く継承した場所の一つとなりました。
その巴底の領主の館跡の一つが険しい崖に囲まれた奥深い山中に今も残り、周囲の集落には領主に仕えた家来の子孫達が現在も住んでいます。 領主の館跡には壮大な九層の石積みの楼閣が有り、隋書等に記された女国(シャンシュン国)や東女国の女王の館を思い起こさせます。 また館跡に残るマニ堂にはシャンシュンの神々に由来する女神の壁画が継承されています。 今後これらの文化財は石造りの高い塔と共に世界遺産として保存されて行く事が期待されています。
山腹に建つ領主の
館跡

古代様式を継承した9層の塔が残っています。

制作:四姑娘山自然保護区管理局 特別顧問 大川健三